「ノシラン」と呼ばれていても、ラン科ではなく、ユリ科。アジア原産で、海岸近くの林の中などに生える。湾岸地域でもあちこちに植えられているが、ノシランはグランドカバーとして使われていて、花壇や通路を埋める植物になっている。花は白い紐(ひも)状で、夏に開花。ひげのような葉っぱの中に、凛と立つ可憐で清楚な花の姿が美しい「熨斗(のし)」の形に似ているところからこの名前になったと言われている。
ノシランが白い小花を咲かせるのに対し、ヤブランは濃い紫色の小花を咲かせる。細長い穂に直径4mmほどの小花をたくさんつけ、花の咲く時期はノシランとほぼ同じ。濃い緑色に白い斑入りの細長い葉は、ノシランの品種とよく似ている。
ヤブランは花が咲いた後に黒く熟した実をつけるが、ノシランの実はコバルトブルーで、卵のような形で大粒である。それぞれの実については秋に確認してみたい。