夏の植物として私の記憶に残っている一つがタチアオイで、アオイ科の多年草。昭和期にはもっとあちこちで栽培されていたと思うが、最近は滅多に見なくなった。当初は中国原産と考えられていたが、現在はビロードアオイ属(Althaea)のトルコ原産種と東ヨーロッパ原産種との雑種とする説が有力。画像は古い辰巳団地で見つけたもので、妙に懐かしい気持ちに満たされた。
開花時期は、5月末から8月末で、 唐代以前は「蜀葵(しょくき)」の名前で名花とされた。平安時代は「唐葵」と呼ばれたが、江戸時代に「立葵」になった。人の背丈以上になり、ぐんぐん伸び、沢山花をつける。「あおい」は、葉がどんどん太陽の方に向かうところから、「あうひ」(仰日)の意。花の色も形も様々である。
最後の画像はゼニアオイ(銭葵)で、ハーブとして広く栽培されている。乾燥した花で入れたハーブティーは美しいブルーを発色し、レモンを加えるとピンクに染まる。中国を経て、江戸時代に渡来した園芸種だが、野生化しているものも多い。