クリスマスのヒイラギ

 クリスマスとなれば、モミの木やヒイラギが浮かんできます。ヒイラギモチ、ヤバネヒイラギモチ、シナヒイラギはどれも同じ植物で、中国原産です。日本の柊(ヒイラギ)はモクセイ科でキンモクセイ同様にいい匂いの花を咲かせますが、赤い実はつけません。

 モチノキ科のヒイラギモチは「チャイニーズ・ホーリー」とも呼ばれ、クリスマスの飾りや生垣、庭園木に使われます。葉は厚い革質で光沢あり、上下左右に鋭いトゲがあり、冬の赤い実と葉の組み合わせはクリスマスの飾りでよく使われます。ヒイラギモチによく似ているのがセイヨウヒイラギで、赤い実もヒイラギモチにそっくりなのですが、葉にあるトゲの数はヒイラギモチよりたくさんあります。

 さて、肝心のセイヨウヒイラギはヨーロッパ西部・南部、アフリカ北西部、アジア南西部の原産。冬の赤い実、クリスマスの装飾の定番としても使われます。キリスト教では、キリストの足元から初めて生えた植物とされています。また、トゲトゲの葉や赤い実はキリストの流した血と苦悩を表しています。そこから別名「キリストの刺」、「聖なる木」とも呼ばれます。さらに、真っ白の花はキリストの生誕と結びつき、樹皮は苦いのでキリストの受難を表すとされています。11月ごろに果実が赤く熟すところから、「クリスマス・ホーリー」と呼ばれ、リースなどの装飾に利用されます。

 こうして、「赤い実がつくヒイラギ」は正しくはセイヨウヒイラギで、ヒイラギとは別種の植物なのです。セイヨウヒイラギはモチノキ科の常緑高木で、ヒイラギと同じように葉の縁にギザギザとした突起があり、そこからセイヨウヒイラギと名付けられたようです。

 以前記したヒイラギモクセイはこのヒイラギと中国原産のギンモクセイとの雑種。ヒイラギもヒイラギモクセイも常緑小高木で、庭木として使われ、ヒイラギモクセイは垣根に用いられることが多く、湾岸地域でもよく見ることができます。

*日本のヒイラギ(柊)はモクセイ科モクセイ属で、やはり神の力が宿る「神聖な木」とされ、邪鬼祓いや魔除けのおまじないに使われてきた。棘のある葉に目を刺されて鬼がおっぱらわれた説話が邪鬼祓いの由来。ヒイラギがモクセイ科であるのに対し、セイヨウヒイラギやヒイラギモチはモチノキ科。日本のヒイラギと区別して、セイヨウヒイラギモチ、アメリカヒイラギモチ、シナヒイラギモチと呼ぶことがあるが、その方が分類上もすっきりしている。