セイヨウクガイソウ(西洋九蓋草)の花とキオビツチバチ

 オオバコ科クガイソウ属のセイヨウクガイソウはヨウシュクガイソイウ、ベロニカストラム・バージニカムという別名を持ち、多くの園芸品種があります。

 セイヨウクガイソウは北米原産の多年草で、しばしば2 m近くにまで成長し白やピンク、紫の細長い花を夏に咲かせます。日本在来のクガイソウに比べ、大ぶりで花も多くつけます。「クガイ(九蓋)」は葉が9層程輪生する様子に由来します。

 植物に眼を凝らしていると、そこに集まる動物が眼に入ってきます。花の場合は特にそうで、何とも当たり前のことなのですが、それで私などは心躍る訳です。自然の驚異も実は日常茶飯事ということになります。どの昆虫も一心不乱に花に集まってくるのですが、実は花に操られているようにも見えてくるのです。

*画像に見えるハチはキオビツチバチで、黒色で腹部に大きな黄色い紋があるツチバチの仲間です。オスの触角は長く、前翅長の3分の2ぐらいあります。ツチバチは体長約15mm~25mmで、比較的大きなハチです。体色は表面が全体的に黒色で、体毛が生えています。ツチバチはハチの中では比較的おとなしく、めったに人に襲いかかることはありません。 集団生活するハチとは違い、ツチバチは単独で行動します。

**人の眼で見えるのは七色で、これが可視光線。この可視光線より波長の短いものが紫外線、長いものが赤外線。ミツバチは紫外線から可視光線の赤色を除く広範囲の色合いが識別できます。つまり、可視光線の黄色・橙色・青色・紫色は色として区別できます。昆虫は好みの色があって、好きな花色に向かって飛んでいきます。モンシロチョウは緑色を除く他の4色に対し、ほぼ均等に飛びまわっています。カラスアゲハは赤色が好きで、黄色と紫色にはほとんど立ち寄りません。ニホンミツバチは緑色の花蜜が好きです。ハナアブは白色、黄色、赤色が好きなようです。コアオハナムグリは白色が好きです(6日前の「花と昆虫」参照)。昆虫は知覚だけでなく、学習や記憶も必要で、そのために脳があります。昆虫のなかでも精巧な脳を持つのがミツバチです。