メマツヨイグサの花

 「月見草」、「宵待草」と呼ばれ、何かと文学と縁の深かったのがマツヨイグサ属の花々で、8月末になって、あちこちで咲き始めている。それらはマツヨイグサコマツヨイグサ、メマツヨイグサ(アレチマツヨイグサ)、オオマツヨイグサなどだが、私にはそれらを正確に識別する自信がまるでない。

 富士に似合う月見草(太宰治富嶽百景』)とは違う植物学的なツキミソウはすっかり姿を消した。戦後の環境変化で絶滅したらしい。ツキミソウはメキシコ原産で江戸時代に渡来した。花期は6 - 9月で、花は夕方に咲き始め、白色である。私が今見ることができるのはヒルザキツキミソウユウゲショウだけである。ヒルザキツキミソウは北米原産の帰化植物で、今ではすっかり野生化し、昼間咲いている。

 夜に咲き、月の中で花を見る環境はすっかり変わり、花と月を愛でる習慣も変わったが、マツヨイグサ属の花たちはその変化の中で生き続けている。その一つがメマツヨイグサで、これは北米原産の帰化植物である。姿形はオオマツヨイグサとよく似ているが、オオマツヨイグサよりも花の大きさが小さいことから、メマツヨイグサの名前がついた。現在、湾岸地域ではメマツヨイグサのほぼ独占状態になっている。

*画像はすべてメマツヨイグサ