センリョウとマンリョウ

 千両と万両、さらに蟻通しの一両を加えて、「千両、万両、有り通し」と洒落れば、年中お金がたくさんあり続けることになり、何ともめでたい。千両(センリョウ、センリョウ科)、百両(カラタチバナヤブコウジ科)、十両ヤブコウジヤブコウジ科)、一両(アリドオシ、アカネ科)と、お金の名前がついた植物は一の位から億の位まで揃っている。いずれも秋から冬にかけて赤い実をつける。

 センリョウは常緑低木で、江戸時代まで「仙寥花(センリョウカ)」と呼ばれていた。見た目の似ている万両よりも実つきがまばらで、そのため千両と呼ばれるようになったらしい。縁にギザギザのある濃い葉っぱを1年中茂らせる。センリョウは6~9月頃に黄緑色の小さな花を咲かせ、10~2月頃に真っ赤な実をつける。センリョウの実は葉の上に、マンリョウの実は葉の下にできる。

 マンリョウサクラソウヤブコウジ属の常緑低木。冬に赤く熟す実が美しく、その実のつき方から名前がついた。その名前がめでたいのでセンリョウなどとともに正月の縁起物とされてきた。江戸時代から実色が違ったり、葉に斑が入ったり、縮れたりするものなどがつくられた古典園芸植物。その後、明治になって多くの品種が作出され、また昭和初期にも流行した。
 マンリョウ、センリョウと呼ばれると、同じ仲間に聞こえるが、マンリョウサクラソウ科、センリョウはセンリョウ科で、まったく違った種類。ついでに、ミカン科のミヤマシキミ(深山樒)の赤い実はマンリョウよりも大きいため、オクリョウ(億両)という呼び名がある。葉も長さ10㎝ほどと大きめ。厚めで縁にはギザギザがない。ミヤマシキミはミカン科で、葉をちぎるとミカンのような独特の香りがある。

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センリョウ

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センリョウ

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マンリョウ

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マンリョウ

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ミヤマシキミ