ウメはバラ科だが、広義のスモモ属(広義のサクラ属)とする説と狭義にアンズとウメを含むアンズ属とする説がある。開花時期は、種類によって1月下旬から4月初旬までと長い。サクラとちがって、咲き方も散り方もゆっくり。
ウメは中国原産で、正確な渡来時期はまだわかっていないが、『万葉集』では100首を超える歌が詠まれていて、既に奈良時代には栽培されていたようである。観賞価値の高い花を咲かせる「花ウメ」と薬や食品に適した良質の実をつける「実ウメ」に分けられ、田舎育ちの私には実ウメがウメだった。戦国時代から各地でウメの栽培が奨励され、全国に梅園がつくられた。
ウメとアンズは近縁種のため、開花期の重なる地域では、自然交雑種が多くでき、「豊後」もウメとアンズの交雑によって生まれたものである。その名の通り、豊後国が発祥であり、開花時期は普通のウメより遅く、2月の中旬から3月上旬にかけて花が開く。花は花弁が幾重にも重なる八重咲きか一重咲き。花弁はうっすらと淡紅色を帯びて、花を沢山つける。画像は辰巳緑道公園の豊後梅の梅林で、いつも閑散としていて、一人占めできるのが何とも心地よいのである。