2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧

センリョウの実

センリョウはセンリョウ科の常緑低木で、ヒトリシズカやフタリシズカなどと同じ仲間。江戸時代までは、「仙寥花(センリョウカ)」と呼ばれていたが、見た目の似ている万両よりも実つきがまばらで、千両になったといわれている。樹高は50~80cmほどに生長し…

大乗仏教の見事なシナリオ

エデンが西方にあり、その東に私たちの住む世界がある。これは仏教でも同じで、阿弥陀仏は西方の極楽世界にいる。だが、東方にも浄土があり、そこに住む阿閦仏(あしゅくぶつ)を知る人は少ない。阿閦仏は、阿弥陀仏と対をなす仏として、大乗仏教の最初期に…

セイタカアワダチソウの泡

セイタカアワダチソウは北アメリカ原産。キク科の多年生草本で、高さ0.5~3mになる。観賞用、蜜源植物として明治30年頃に移入されたが、急増したのは1940年代以降で、河川敷、土手、荒地、原野、休耕地、路傍、空地などに生育。開花期は8~11月。強い「アレ…

阿弥陀信仰(2)

前回の話を読んだ方々はまず違和感をもたれた筈で、これは法螺話で、にわかには信じ難い方便だと訝った方も多いことでしょう。確かに十分な証拠が揃っている訳ではなく、しかも紀元前後の大昔の話で記録も全く不十分です。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教…

ロドレイア

ロドレイアはマンサク科ロドレイア属の常緑小高木。ロドレイアの仲間は東南アジアから中国南部にかけて7種が分布。この中で、日本に導入されているのは主にカンピオニーとヘンリーという2つの種だが、ヘンリーのほうが、葉も花も樹高も大きめ。画像(花芽)…

阿弥陀信仰(1)

阿弥陀仏は大乗仏教の主要な仏としてクシャーナ時代の初期(1~2世紀)に登場し、その起源にはイラン思想やキリスト教の影響が考えられます。クシャーナ時代には北西インドにクシャーナの王たちが信奉するゾロアスター教系の信仰が広まり、クシャーナの貨幣…

冬薔薇

俳句では冬に咲くバラを「ふゆそ(さ)うび(冬薔薇)」、あるいは「寒そ(さ)うび」という。薔薇の古語が「そ(さ)うび」。12月に入ってもバラの花が目につく。薔薇は初夏の季題であるが冬に咲く薔薇を「冬薔薇」と呼ぶ。薔薇に冬薔薇という種類のものが…

歎異抄と聖書の罪

「原罪」と「悪人正機(あくにんしょうき)」は、共に私たちの常識を根底から揺さぶるアイデアです。「本能は煩悩である」という被害妄想的な考えは原始仏教以来ずっと続いてきましたし、アダムとイヴの楽園追放も度肝を抜く物語です。そのため、輪廻の世界…

シコンノボタンの紫紺

公園などでよく見るようになったシコンノボタン(紫紺野牡丹)は冬になっても花をつけている。その紫色は幅があり、京紫から江戸紫までを優に含み、しかも変化する。「紫紺のボタン」ではなく、紫紺の「ノボタン」であり、ノボタン科ティボウキナ属(和名シ…

イソギクの黄色い花

イソギク(磯菊)はキク科キク属の多年草で、磯の菊ということから「磯菊」の名がある。日本固有種の野生菊で、分布域は千葉県犬吠崎から静岡県の御前崎にあり、海岸の崖や岩場などに自生。イソギクの栽培は江戸時代から始まっており、現在では自生地以外で…

天狗の羽団扇

「てんぐのはうちわ」がヤツデ(八つ手)の別名。ヤツデはウコギ科ヤツデ属の常緑低木。葉が大型で独特の形をしているのでよく目立つ。20cm以上もある大きな葉をつける。葉にはつやがあり、やや厚手。形は八つ手のようだが、7つまたは9つ(奇数)に裂けてお…

小乗から大乗への、あるいは自力から他力へのパラダイムシフト

何が小乗仏教を大乗仏教に変えたのか。この単純な問いは大いに好奇心をそそられるのではないか。神が全知全能で善なる存在ならば、悪は何に由来するのか。その解答の一つがグノーシス主義。物質があふれる宇宙は、そもそも神が創造したものではなく、サタン…

ナンテンの赤い実

ナンテンはメギ科ナンテン属の常緑低木。和名は漢名の「南天燭」の略。高さは2mから4〜5mほど。幹の先端にだけ葉が集まってつく。初夏に白い花が咲き、晩秋から初冬に赤色の実をつける。ナンテンは「難を転ずる」ことにも通じるため、縁起木、厄よけ、魔よけ…

マンリョウの赤い実

マンリョウはヤブコウジ科ヤブコウジ属の常緑低木。日陰にも耐えるため、昔から和風庭園の下草として使われてきた。秋から冬になる赤い実は艶やかで美しく、鉢物としてセンリョウなど共に正月飾りに用いられる。同じように赤い実をつけるセンリョウより美し…

ペニセタム「パープルファウンテングラス」

紅葉が目につく昨今、紫色の葉に惹かれてみれば、パープルファウンテングラスのブロンズリーフ(銅葉)。夏から秋に赤紫色の花穂も楽しめ、紫色のススキのような葉とねこじゃらしのような穂が魅力の品種である。イネ科の非耐寒性多年草で、草丈は120㎝ほどに…

グノーシス主義とマニ教

グノーシス(gnosis)とは「知識、認識」を意味するギリシャ語(英語の know の語根)。グノーシス主義は善悪(真偽)の二元論が特徴で、自己の本質を知ることによって人間の解放を目指す。キリスト教では全知全能の神の世界支配が前提であるため、私たちが…

園芸種のカランコエとオオベンケイソウ

<カランコエ ディスコディップ> カランコエはアフリカ南部原産のベンケイソウ科カランコエ属の多年生多肉植物。草丈の20㎝未満のものから、50㎝ほどのものまである。冬から春に美しい花を咲かせ、花色は赤、オレンジ、黄、白、ピンクがあり、一重咲き、八…

異端と正統の区別に端を発して…

権力や権威に背くことは何も若者の特権ではなく、人のごく普通の権利。「背く」ことは一級の快感であり、その味は麻薬や媚薬の如く人々を虜にする。革命とは既存の体制に背くことであり、異端そのもの。だが、そんな異端への陶酔は実は幻想でしかなく、正統…

サンゴジュの実:赤から紫へ

サンゴジュ(珊瑚樹)は11月10日に紹介した。レンプクソウ科ガマスミ属の常緑高木で、その実は8~10月に赤くなり、完全に熟すと黒紫色になる。その時の画像は赤い実だったが、1か月近くたって、実は紫色に近づいている。二つの画像を比較し、色の変化を見て…

バベルの塔とグノーシス主義

自然言語(natural language)とは日本語や英語、中国語やスペイン語のような、人間が生活する世界で使われ続けてきた言葉。私たちが言葉と言うときの典型である。それに対して人工言語(artificial language)は人間が意図的、人工的につくり出した人工的な…

バンクシア・エリキフォリア

バンクシア・エリキフォリアはヤマモガシ科バンクシア属の常緑小高木で、樹高は3~7メートルほど。バンクシア属だけで80種くらいあり、ほとんどがオーストラリアに分布。本種の原産地はニューサウスウェールズ州。英語名はヒースバンクシア(heath banksia)…