秋のジョロウグモのメス

 ジョロウグモ科に属するジョロウグモは夏から秋にかけて、大きな網を張ります。10月に入り、湾岸地域でもその網を見ることができます。ジョロウグモコガネグモナガコガネグモと同じように大型のクモで、名前の「ジョロウ」は「女郎」、あるいは「上臈」に由来すると言われています。英語ではJoro Spider。

 雌雄の性差が大きく、成体の体長はメスで17〜30mmなのに対して、オスでは6〜13mmとメスの半分以下です。メスの腹部は幅の狭い楕円形で歩脚は細長く、成熟したメスの腹部には幅広い黄色と緑青色の横縞模様があり、腹部下面に鮮紅色の紋があります。

 ジョロウグモの網は直径1mくらいのものもあり、大きく、横糸が黄色いので、光が当たると金色に光って見えます。ジョロウグモの網にはオスとメスが同居しているのをよく見かけます。メスが網を張り、獲物を捕らえ、食べ物もメスが供給しています。オスはメスの成熟前からメスの網に居候し、交接のタイミングを待っています。交接の80%以上はメスが最終脱皮をしている間に行われ、それ以外ではメスの摂食時に行われます。網には複数のオスがいる場合があり、そこでは雄の間の戦いがあります。

 ジョロウグモは産卵期を迎えると、腹部の色彩や模様が一層鮮やかになっていきます。大きな腹部はジョロウグモの刺青のような見事な色模様をさらに強調しています。メスのジョロウグモの張り切った体は生と性が融合した姿そのものであり、命を引き継ぐ充実した時を強く感じさせてくれます。

 ジョロウグモの産卵期は晩秋で、卵で冬を越し、翌年の5月に孵化します。産卵後も卵を丁寧に保護するメスの行動は子育てに熱心なジョロウグモの特徴を示しています。

 今年はこれまで目立たなかったのですが、秋が深まり、ジョロウグモの姿が見られるようになりました。ジョロウグモは害虫を捕食する益虫で、湾岸地域でもジョロウグモとその網を見ることができます。

*最初の画像がメスの現在の姿、最後の画像は産卵間近の姿