アオイ科は熱帯アメリカを中心に80属1500種の大きな科で、日本にはフヨウ属、ボンテンカ属、キンゴジカ属が分布します。中でもフヨウ属(芙蓉属、Hibiscus)にはムクゲ、モミジアオイ、ブッソウゲ(ハイビスカス)などが含まれます。主なものを以下に挙げてみましょう。
・フヨウ(Hibiscus mutabilis)は西日本から沖縄県にかけてよくみられ、観賞用に栽培されることが多い。
・ムクゲ(Hibiscus syriacus)は庭木として親しまれていて、3mを越え、大韓民国の国花。
・ブッソウゲ(Hibiscus rosa-sinensis)は「ハイビスカス」と呼ばれ、英語では Chinese hibiscusで、マレーシアの国花。
・モミジアオイ(Hibiscus coccineus) は 夏の庭の主人公で、北米原産。
・ハマボウ(Hibiscus hamabo)は西日本各地の沿岸部に自生。
モミジアオイは明治初期に渡来した北アメリカ原産の宿根草植物。7月から9月頃までの夏の季節にフヨウによく似た大輪の赤い花を咲かせます。花がハイビスカスやタチアオイに似ているため、間違えやすいのですが、モミジアオイは花弁の根の部分が細くなっていて、花弁の間の隙間が広くなるのが特徴です(画像)。「モミジアオイ」の名前は星形の葉の形がモミジに似ていることから。別名は「紅蜀葵(こうしょくき)」。
多年草アメリカフヨウは北アメリカが原産で、高さは1~2メートル。その別名が「くさふよう(草芙蓉)」で、6月から10月頃に上部の葉腋に大きな花を咲かせます。フヨウが木本であるのに対し、アメリカフヨウは草本です。花は一日花で、すぐ萎んでしまいますが、夏から秋にかけて次々に花を咲かせてくれます。
モミジアオイとアメリカフヨウとの交配種がタイタンビカスで、赤、ピンク、白などの花色があります。アメリカフヨウの葉は切れ込みがなく、卵型ですが、タイタンビカスには葉に切れ込みがあります。
ムクゲはフヨウの近縁種ですが、一般的には雌しべの先が上向きに曲がっているのがフヨウ、まっすぐなものがムクゲと区別できます。ムクゲの園芸品種にも色んな花色、八重咲きがあり、アメリカフヨウとの交配種もあります。
こうして、フヨウ属には木本と草本が含まれ、それらの間の交雑も可能であることがわかります。
*画像は順に、ムクゲ(一重)、タイタンビカス(赤)、モミジアオイ、ムクゲ(八重)、アメリカフヨウ、タイタンビカス(シロ)