フヨウ属の花たち(2)

 モミジアオイは明治初期に渡来した北アメリカ原産のアオイ科フヨウ属の宿根草植物。7月から9月頃までの夏の季節にフヨウによく似た大輪の赤い花を咲かせます。花がハイビスカスやタチアオイに似ているため、間違えやすいのですが、モミジアオイは花弁の根の部分が細くなっていて、花弁の間の隙間が広くなるのが特徴です(画像)。草丈は大きい物で2m近くになり、茎も草本としてはとても太くなります。モミジアオイの名前の由来は、星形の葉の形がモミジに似ていることから命名されました。別名は「紅蜀葵(こうしょくき)」。

 アオイ科フヨウ属の多年草アメリカフヨウは北アメリカが原産で、高さは1~2メートル。その別名が「くさふよう(草芙蓉)」で、6月から10月頃に上部の葉腋に大きな花を咲かせます。フヨウが木本であるのに対し、アメリカフヨウは草本です。花色には、白色やピンク色、赤色、覆輪などがあります。アメリカフヨウは大きな目立つ花を咲かせるハイビスカスの仲間ですが、園芸では矮性の改良・交雑品種がよく出回っています。花は一日花で、すぐ萎んでしまいますが、夏から秋にかけて次々に花を咲かせてくれます。アメリカフヨウはハイビスカスと同じアオイ科で、ハイビスカスやブッソウゲを大きくした感じです。

 モミジアオイアメリカフヨウとの交配種がタイタンビカスで、赤、ピンク、白などの花色があります。アメリカフヨウの葉は切れ込みがなく、卵型ですが、タイタンビカスには葉に切れ込みがあります。アメリカフヨウは 全体的にこんもりと咲きますが、タイタンビカスは 背が高く咲きます。また、タイタンビカスはモミジアオイのようにしっかりとした花弁です。ふんわりと丸い花がアメリカフヨウの特徴です。

 ムクゲはフヨウの近縁種ですが、一般的には雌しべの先が上向きに曲がっているのがフヨウ、まっすぐなものがムクゲと区別できます。ムクゲの園芸品種にも色んな花色、八重咲きがあり、アメリカフヨウとの交配種もあります。コダチフヨウは木本のフヨウと草本アメリカフヨウを交配させた、珍しい園芸品種です。木本の性質としては葉型がフヨウに、また、草本の性質としてはアメリカフヨウの影響が強いと考えられます。

 こうして、フヨウ属には木本と草本が含まれ、それらの間の交雑も可能であることがわかりました。

*画像は順に、タイタンビカス(白)、アメリカフヨウ、ムクゲ(八重)、タチアオイモミジアオイ、タイタンビカス(赤)、ムクゲ(一重)でした。