春の黄色の雑草たち

 緑が次第に増す中で、アクセントになっているのが黄色の花。見渡すだけでも、タンポポ(蒲公英)、ブタナ、オニタビラコ、そして、ノゲシの花が点在しています。花だけ見ると、いずれもよく似ています。ブタナ(豚菜)の別名はタンポポモドキで、ヨーロッパが原産。キク科の多年草で、タンポポに似ていますが、分枝した茎葉に花をつけることで区別できます。1940年代以降に全国に拡大しました。オニタビラコ(鬼田平子)はキク科の越年草。道端や庭に自生し、世界に広く分布しています。ノゲシ(野芥子)もキク科の植物で、タンポポとは容易に区別できますが、花はよく似ています。

 タンポポの花と呼ばれているのは、実は花の集りです。外側の花びら1枚を引き抜いてみると、花びらにめしべとおしべがついています。根元には子房(種ができるところ)もあります。つまり、花びら1枚が、一つの花であり、一つの花に見えたタンポポは200個程の小さな花が集まったものです。それぞれの花に花粉が付いて受精すると、種子ができます。種子のように見えますが、実際は果実(痩果)です。タンポポの場合、子房の外側に萼があり、その先端が伸びて、冠毛(綿毛と呼ばれているもの)になります。冠毛が風を受けると空中に舞い易いので、果実(種子)を遠くまで運び、成育する場所を広げるのに役立ちます。

 タンポポの綿毛はその幾何学模様の見事さや運動能力もあって、私たちの想像力を刺激してきました。私の好きな和歌と俳句を挙げておきます。

俵万智 たんぽぽの綿毛を吹いて見せてやるいつかおまえも飛んでゆくから

加藤楸邨 たんぽぽの ぽぽと綿毛の たちにけり

*画像はタンポポ、ブタナ、オニタビラコノゲシタンポポの綿毛