センニチソウの花

 センニチソウ(千日草、別名センニチコウ(千日紅))の白い花を見ると、シロツメクサを連想するのは私だけではないだろう。そこで、シロツメグサは野草だが、センニチソウは園芸種、と言ったのでは余りに味気ない。

 センニチソウの花のように見える球体の部分は、苞(ほう)と呼ばれる葉の集まり。花びらをつけず葉が変化した苞が白やピンク、紫などに色づく。センニチソウの花は「苞」の隙間にあり、小さな明るい黄色の部分(画像ではわかりにくいが、センニチソウの花の黄色の部分)。私たちがセンニチソウの花だと思って見ていたのは実は葉が変化した苞だったのだ。一方、シロツメグサは、小さな蝶形の花が球状の総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)をつくっていて、それが一つの花のように見えている。つまり、私たちがシロツメグサの花と思って見ていたのは花の集合で、センニチソウは苞を花だと思って見ていた、ということになる。これなら少しは味がある。

 ヒユ科一年草のセンニチソウは夏のような暑さと乾燥に強く、長期間咲き続ける。苞の部分は色が褪せにくく、ドライフラワーにすると、名前のように千日紅色を保つ。センニチソウの日本への渡来はたいへんに古く、江戸時代前期で、ヒャクニチソウと同じく仏花として使われてきた。