アコウの実

 沖縄の風景を代表する木は気根を垂らしたガジュマル。同じように気根を垂らすアコウは樹高20m程になるクワ科の半常緑高木で、西日本、九州、沖縄の沿海部に見られるイチジクの仲間。幹を伝うヒゲのような気根や、露出した根が入り乱れる姿が特徴的で、中国南部沿岸や東南アジアの各地にも分布し、樹齢数百年を超える天然記念物のアコウがたくさんある。赤い小さな実を「赤子(和歌山や高知の方言でアコ)」に見立ててアコウと呼ばれる。

 アコウは常緑樹だが、1年に1回以上、一斉に葉を入れ替える性質があり、葉が全くない時に目にすると、落葉樹のように見える。新芽は紅色で、紅葉のように美しい。乾燥させた葉を焼くと良い香りがあり、「沈香木」の別名がある。

 花は表には見えず、太い枝や幹に突然できるイチジクに似た「花嚢(のう)」の中にひっそりと咲く。雌雄異株で、イチジクコバチが花嚢の口部を出入りすることで交配する。花嚢は8月頃になると淡いピンク色に熟し、「果嚢」となる(画像)。つまり、花から実に変わる。イチジクと同じように、花嚢の内側につくため、花が見あたらないまま、果実が熟す。

 また、画像から木の肌に直接果実が着いているように見える。このような花や果実のつき方は幹生花(幹生果)と呼ばれる。