チチコグサ

 春の七草として親しまれているハハコグサ。畑や道ばたなど、どこにでも普通に見ることができる雑草ですが、つぶつぶの黄色い花の集まりと白い綿毛に包まれた茎葉の組み合わせは何とも愛らしく、魅力的です。これに対して、茎葉は同じように白い綿毛をまとっているものの、ずっと目立たない茶色の花を咲かせるのがチチコグサ。ハハコグサとチチコグサは、オミナエシ(女郎花)とオトコエシ(男郎花)のように、片方を女性、もう片方を男性に例えて名付けられたもの。

 でも、男女と父母の違いは同じではありません。いずれが雌雄に近いかとなれば、男女の方でしょう。セックスとジェンダーの違いと並んで、男女と父母の違いはもっと考えられるべきなのですが、オミナエシハハコグサの方がオトコエシやチチコグサより確かに人々に好まれるようです。

 さて、その目立たないチチコグサが今あちこちの空き地で花をつけています。湾岸地域では今年特にその数が目立ちます。ハハコグサよりずっと多いのです。でも、よく見ると、本来のチチコグサは見つからず、外来種のチチコグサ(ウラジロチチコグサ、タチチチコグサ、チチコグサモドキなど)ばかりなのです。素人の私が見ても、ウラジロチチコグサ、タチチチコグサが大半を占めています。少なくとも湾岸地域では、外来種が日本に定着し、在来のチチコグサを圧倒しているのです。

ハハコグサ