謎の多いノラニンジン

 野菜のニンジンの野生種と言われている。私が住む湾岸地域でも空地、草地のあちこちで花をつけ出している。根は直径約1㎝と細く、食べられない。昭和初期に牧野富太郎が見つけ、命名した。特に北海道に多い。ノラニンジンはヨーロッパ原産の外来植物。葉柄は長さ3~10㎝で、画像のような大散形花序に多数の白花をつける。

 今咲いているオミナエシ(画像)は古今和歌集に「女郎花」と書き、源氏物語にも登場するが、この女郎花に対し、男郎花(オトコエシ)は白花で、同じ時期に同じような花を咲かせる。ノラニンジンはこのオトコエシに似た花を咲かせ、よく間違えられる。

 ノラニンジンはセリ科ニンジン属の2年草。ノラニンジンは栽培種が野生化したものなのか、ノラニンジンこそが栽培ニンジンの原種なのか、よくわからない。ノラニンジンは野良犬ではなく、オオカミなのかも知れない。栽培ニンジンが日本に渡来したのは室町時代で、栽培の歴史はそれほど長くないはずである。少なくともノラニンジンは日本で野生化したのではないようだ。

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