クロコスミアの花言葉は「楽しい思い出」。そのせいではないが、クロコスミアは子供の頃の思い出の花の一つ。畑の端で栽培されていた花がいつの間にか半ば野生化した記憶が残っている。クロコスミアは夏の暑い日も大雨の日もいつも平気で咲いていた。田圃の中のあぜ道などでよく見かけていたのだが、それを何と呼んでいたのか全く思い出せないのだ。祖父母が何と呼んでいたのかさえ、すっかり抜け落ちている。でも、形や色をもつ花姿としてはしっかり焼き付いている。さすがに湾岸地域では滅多に見ないのだが、それでも野生化したクロコスミアを見つけることができる(画像)。
クロコスミアはヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)の名前で古くから栽培され、親しまれている花。細長い剣状の葉が群生し、夏に色鮮やかな花が穂になって咲く。南アフリカ産で、性質が強く、よくふえるので、世界中で野生化している。
クロコスミアは品種も多く、その数は300以上ある。地下には球根(球茎)があり、地下茎を伸ばして、その先端に新しい球根が毎年1個ずつできて増えていく。冬に休眠する春植え球根だが、植えっぱなしでほとんど手がかからない。クロコスミアが日本へやってきたのは明治時代中期。以降は「ヒメヒオウギスイセン(姫檜扇水仙)」、「モントブレチア」という名前で各地に普及していった。
今もクロコスミアが私の子供の頃と同じようにふるさとで見ることができるかどうかわからないが、今住む湾岸地域には確かに生息している。