セイヨウノコギリソウの花

 ヨーロッパ原産のキク科ノコギリソウ属セイヨウノコギリソウ(西洋鋸草)は先史時代から薬草として知られていた。ネアンデルタール人の墓地のあるシャニダール洞窟から花粉が大量に発見されている。また、「兵士の傷薬」という古い呼び名があり、属名であるアキレア(Achillea)は、古代ギリシャの英雄アキレスに由来し、アキレスがミュシア王テレフォスの傷を治すのに利用したという。別名はヤロウ、アキレア。日本へは明治時代に切り花用として渡来。

 画像のような白い花はヤロウホワイトと呼ばれ、止血作用や健胃作用の薬効があり、重要なハーブとして用いられてきた。草丈は60~80cm程で、茎は直立して上部で分枝する。花期は6月~9月頃で、花の形態は散房花序で、花の一つ一つは小さいが、真上から見るとまるで大輪の花を思わせる。中心には頭状花と呼ばれる両性の花があり、その周りに5枚の舌状花がある。

※茎から上に伸びる花軸が下からついているものほど長くなり、最終的に花の高さが平面状に咲き揃うのが散房花序。

 セイヨウノコギリソウの茎は固くまっすぐだが、互生する長い楕円形の葉は柔らかく、ノコギリの刃のように細かく裂けたような形状をしている。