ヒメリンゴの花

 子供の頃、向かいの家の庭にヒメリンゴの木があって、その木に登って小さく青いリンゴをかじり、とても渋く苦く酸っぱかった記憶だけが残っている。それ以降、ヒメリンゴは苦手だったのだが、近くの学校のグラウンド横に何本も植えられていて、毎年綺麗な花と渋く苦い記憶の実をつけている。この年齢になると、古い記憶の中のヒメリンゴを身近に再見できるだけで、妙に懐かしく、嬉しい気持ちになるのである。

 ヒメリンゴと呼ばれるものの一つが中国原産のイヌリンゴ(犬林檎)、もう一つはそのイヌリンゴとエゾノコリンゴの交雑種。「イヌ」や「ヒメ」が接頭語のようにつくと、イヌワシヒメウツギのような、同じ仕組みでできた名前が浮き上がってくる。この他に、ズミとリンゴとの雑種という説もあり、素人の私は戸惑うしかない。

 4月から5月にかけ、ヒメリンゴはほのかに淡いピンクの花を咲かせ、その花は満開時に白くなる(画像)。白いヒメリンゴの花は青空にとても似合っている。

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