ヒメリンゴの青い実

 子供の頃、向かいの家の庭にヒメリンゴの木があって、その木に上って小さく青いリンゴをかじり、とても渋く苦かった記憶が今でも残っている。それ以降、ヒメリンゴは苦手だったのだが、近くの学校のグラウンド横に何本も植えられていて、綺麗な花と渋く苦い記憶のある実をつけている。この年齢になると、ヒメリンゴの実の味などどうでもよく、古い記憶の中のヒメリンゴを身近に再見できるだけで、妙に懐かしく、嬉しい気持ちになる。

 ヒメリンゴと呼ばれるものの一つが中国原産のイヌリンゴ(犬林檎、Malus prunifolia)、もう一つはそのイヌリンゴとエゾノコリンゴの交雑種。いずれであれ、バラ科リンゴ属の落葉高木。このほかに、ズミとリンゴとの雑種という説もあり、素人の私は戸惑うしかない。4月から5月にかけ、ほのかに淡いピンクの花を咲かせ、満開時は花が白くなる(画像)。

 果実は球形で直径が2-2.5cm。熟すと黄色から紅色になり、先はへこまない。 5月に実をつけ、9月まで実は赤くならず、ずっと緑のままである。実は渋みが強く、甘みもないため食用にはならない。こうなると、食べるための実ではなく、鑑賞用の実ということになる。食べるための花があるのだから、見るための実があってもおかしくないだろう。

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