アコウの実

 アコウは日本の南部沿海部に見られるイチジクの仲間。小枝を傷つけるとイチジクと同じように乳液が出てきます。画像にはありませんが、幹を伝うヒゲのような気根や、露出した根が入り乱れる姿が特徴的です。木を見上げると、幹や枝には緑の実がたくさんついています。開花は5月頃ですが、花は表には見えず、太い枝や幹に突然できる「花嚢」の中にひっそりと咲きます。雌雄異株で、イチジクコバチが花のうの口部を出入りすることで交配します。アコウの実は、はじめは花で、のちに果実へ変わっていきます(名前も花嚢から果嚢へと変わる)。この実はイチジクと同じように、花嚢の内側につくため、外見上花が見あたらないまま、果実が熟します。

 赤い小さな果実を「赤子」に見立ててアコウと呼ばれ、漢字表記は「赤榕」、「雀榕」です。「赤榕」は、赤い実がなる榕(ガジュマル)で、「雀榕」はスズメのように花や実が連なるガジュマルという意味です。アコウは常緑樹ですが、1年に1回以上、一斉に葉を入れ替え、葉が全くない時には落葉樹のように見えます。乾燥させた葉を焼くと良い香りがあり、「沈香木」との別名があります。

 アコウの種子は鳥類によってアカギやヤシなどの樹木の上に運ばれ、成長すると気根で親樹を覆い尽くし、枯らしてしまうこともあるため、「絞め殺しの木」とも呼ばれます。画像のように、実は幹や枝に直接ついているように見えます。アコウの木は葉がたくさん茂り、地面に張り出した根が特徴的で、幹や枝から伸びる大きな気根があります。

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