キツネノマゴ(狐の孫)の花を見つけて一瞬爽やかな気分になるのだが、老眼の焦点を絞ることができず、悲しい気分も襲ってくる。暑さの中で涼しげなキツネノマゴは道端に生える自生種(雑草)。
小さな花と低い背丈で目立たないが、その名前が面白い。花の根元に密集している細いガクのような穂が、狐の尻尾に似ているという説があるが、孫の意味は不明である。キツネノマゴはキツネノマゴ科キツネノマゴ属の一年草で、夏の終わりから秋にかけて、道端や草地など身近なところで見られる。8月から10月にかけて本州の道端や少し湿った草原などに見られ、目を凝らさないと見過ごしてしまう。古くから親しまれてきた草花の一つである。
薄い赤紫色の2cm〜5cmほどの花穂に、花が点々と二つ三つとまばらに咲いている。花の大きさは7mmほどで、唇型の花の中心部に星のような白い模様が見える(画像)。これは蜜標(みつひょう)と呼ばれ、虫たちに蜜の場所を教えている。花先は3つに裂け、花びらの奥の上唇に雄しべが2本あり、虫たちが蜜を吸いにくると閉じるようになっている。
キツネノマゴよりも花が小さめで、葉の幅が広いのがキツネノヒマゴで、主に琉球列島で見られる。孫だけでなくひ孫もいるという訳である。また、白い花のものはシロバナキツネノマゴ。