近くの公園にはトチノキの大木があり、今は大きな葉が日陰をつくってくれています。実が葉の間に見え、何個かは落下しています。
トチノキはトチノキ属の落葉広葉樹ですが、同じトチノキ属のマロニエ(西洋栃ノ木)は、16世紀にヨーロッパで街路樹として植栽することが流行し、一気に広まり、パリのシャンゼリゼ通りの並木道は世界的に有名。サルトルの『嘔吐』にも登場します。一方、日本原産のトチノキの実は古代人にとって貴重な食材であり、縄文時代の遺跡からも化石が多く発見されています。
5月から6月に、葉の間に穂状の花がつきます。花は白〜薄い紅色。その実は熟すと3つに裂け、1~2個の大きな種子が出てきます。種子の重さは、20~30gもあり、日本の落葉広葉樹では最もく、種子は大きさ、艶、形ともにクリに似ていますが、色は濃く、球状。種子は「栃の実」と呼ばれて食用になります。アク抜きには半月以上かかりますが、縄文時代から食用にされてきました。