葉の形が松葉、花がウンランに似ていることからこの名がついた越年草で、北アメリカ原産の帰化植物。意外に新しく、1941年に京都市で初めて採集された。現在では北関東、北陸地方以西に普通に見られる。何とも弱々しい茎だが、ウンランに似た花は薄紫色で美しい。日当たりの良いところを好む。花は高さが20~40㎝の長く伸びた茎の先に穂状につくが画像の茎はずっと短い。マツバウンランは目立たない雑草だが、人を魅了する園芸種の花といずれが好きかと問われると、中にはマツバウンランの方が各段に好きだという人が必ずいるもので、それが人の心の不思議の証左になっている。私はそれほどへそ曲がりではないが、よく見るとそれなりの美しさを認めるのに吝かではない。
マツバウンランとよく似た花色のオオアラセイトウは中国原産のアブラナ科の2年草。日本には江戸時代に観賞用として渡来したが、広く栽培されるのは1930年代以降になってから。今では野生化し、道端などでも見かけるようになってきた。画像も道端のもの。花期は長く5月頃までで、草丈は30~60㎝で、茎の先に2-3㎝ほどの淡紫色や紅紫色の十字形の4弁花を付ける。別名はムラサキハナナ、オオアラセイトウ、ハナダイコン。「紫花菜」の名前で園芸店に並んでいたりして、確かに野草にしては、華やかで美しい花。野草でもあり、園芸種でもありという花である。