ワレモコウ再訪

 秋の高原に咲くワレモコウは多年生草本で、盛夏から仲秋にかけて、暗紅紫色の楕円形の花が花序の先端から咲き出します。若葉は食用とされることがあり、同属のオランダワレモコウ(別名サラダバーネット)は若葉をサラダに使うと、キュウリに似た風味が得られるそうです。

 ワレモコウの名前の由来として平安時代に書かれた日本最古の百科事典と言われる『和名抄(わみょうしょう)』に和名として「阿夜女太無(あやのたむ)」、一名「衣比須弥(えびすね)」と記載されており、同じく平安時代には「割れ木爪(帽額=モコウ)(われもこう)」と呼ばれていましたが、時代が下るに従って「吾亦紅」、「吾木香」、「我吾紅」、「我毛紅」、「割木瓜」、「我毛香」と漢字が変更されていきます。

 ワレモコウは、北海道から九州の山野の日当たりの良い草地に生える多年草で、高さは30㎝から1mを超えることもあります。小さな花が密集した楕円形の花序は1cmから2cmで、花弁はなく花弁のように見えるのは萼片です。花穂は下から上に咲いていくものがほとんどで、つぼみを増やしながら咲いていくものが多く、「無限花序」と言われますが、ワレモコウは花序の上から下へと咲いていき、つぼみが増えることはなく、「有限花序」と言われます。

 花が咲いているのか咲いていないのかよくわからないのがワレモコウですが、4本のおしべが見えれば、咲いている証拠。咲き終わった姿も風情があり、ドライフラワーとして人気があります。

*秋の十五夜のお月見では、薄(すすき)とともに不可欠