トネリコ属のトネリコは日本列島を原産地とするが、シマトネリコはトネリコ属では数少ない常緑樹。つまり、トネリコが落葉高木、シマトネリコが常緑高木。シマトネリコは美しい小葉が規則的に並び、そこから降り注ぐ木もれ日が、涼しげでさわやかな印象を与える。5月下旬から7月にかけて、枝先に小さな白花が房のように咲き、やがて結実して白色の翼をもったタネがつく。タネは樹上に長くつき、遠目に見ると花が咲き続けているように見える。
湾岸地域の街路樹としてあちこちに植えられているが、シマトネリコは高さ15m近くになる樹木で、名前の由来は、沖縄などの島に生息しているトネリコの仲間からきている。夏になるとこの木にセミが好んでとまる。
樹枝の間に アビオンの飛ぶ 夏の空
サルスベリ 夏の寺内は 静かなり
仏教の三大聖木は無憂樹、菩提樹、沙羅樹。気候の違いから日本では育てることができず、代用樹が用意された。いま花をつけているナツツバキは沙羅樹の代用。無憂樹(アショーカ樹)は橙色から紅色の細かい花を沢山つけ、それに花姿の似たサルスベリが代用となった。確かに、私の記憶の中の最初のサルスベリは近くの寺の境内に植えられていた。その木によく登って遊び、その木肌を今もよく憶えている。
そのサルスベリの花が湾岸地域でも咲き出した。湾岸地域の東雲や有明には寺が一つもないのに、サルスベリが歩道に植えられ、やはり街路樹になっているムクゲと花の競演となる。サルスベリは花色が赤、ピンク、白と実に賑やかで、人々に好まれるようである。最近は矮性の園芸種も多い。初秋までの長い期間に渡って花を楽しむことができるため「百日紅(ヒャクジッコウ)」という別名があるが、実際の花期は2か月ほど。