ネジバナのピンク色の花たち

 6月も中旬、あちこちでネジバナの花が咲き出している。らせん状に花が咲くので「ネジバナ」とは何とも直接的で、わかりやすい命名だが、ネジバナはラン科の多年草、別名がモジズリ(綟摺)で、興味深い特徴をもっている。花序がらせん的で、右巻きと左巻きの両方があり、中には花序がねじれない個体や、途中でねじれ方が変わる個体もあり、そのねじれ方は自由奔放。らせんが右巻きと左巻きの比率はおよそ1対1である。開花時期は6月下旬からだが、既に湾岸地域では咲いている。

 小さなピンク色の花が10個以上らせん状について咲いていて、それを見れば、誰もが「なぜねじれるのか」とつい問いたくなる。花がみな一方向に向けば、茎が傾くので、花の方で工夫して万遍なく花をつけたという説があるが、真偽のほどはわからない。

 個々のネジバナを見つめながら、今年のねじれ具合は千差万別で、個性的だと考え、個体差こそが生物の基本特性なのだと考えたりするのだが、そんな自分もへそ曲がりで特異なのだと妙に感心してしまうのである。