アベリアの花

 スイカズラ科ツクバネウツギ属のアベリア(Abelia)は、湾岸地域の公園や道路沿いに数多く植栽されていて、私の日常風景をつくる基本的な構成要素になっています。

 アベリアは中国原産のシナツクバネウツギと同じ中国を原産とするアベリアユニフローラの交配種で、19世紀中期にイタリアで作出されました。四季咲きといえるほど長い開花期や、半常緑でありながら寒さに強いという特徴を受け継いでいます。ほぼいつも花と緑の葉を見ることができます。

 日本へ渡来したのは大正時代末期で、東京オリンピック以後の緑化ブームを契機に全国に広まりました。花期は初夏から霜が降り始まる晩秋までで、ラッパ型の花が次々に咲きます。葉は卵形で先端が尖り、表面は油っぽい光沢があります。

 いつでも見ることができると人は見なくなるものですが、ふとアベリアの花を見ると、物を見ると言いながら、意外に見ていないことにハッとさせられ、それに驚くのは私だけではない筈です。