湾岸地域にはマメ科のヤマハギ(山萩)やミヤギノハギ(宮城野萩)がよく植えられている。ヤマハギはハギ属の一つで、日本各地の山野に生える落葉半低木。少し前からヤマハギが花をつけている。秋の七草の一つとして古くから日本人に親しまれてきた。『万葉集』にも萩を詠んだ歌が130首以上収められている。ハギは秋の七草だが、草ではなく木である。密集した枝にこまやかな花がたくさん咲くが、咲く花は直径1センチ程度の小さな蝶形で、マメ科の花の特徴をもっている。花期は長く、満開がはっきりしないまま、次々と咲き続ける。
*シロバナヤマブキはヤマブキだが、シロヤマブキはヤマブキではない。ヤマハギの花の色は赤紫色だが、白い色の花をつけるヤマハギがあり、シロバナヤマハギ(白花山萩)と呼ばれる(画像)。 シロバナハギも白い花をつける(画像)が、こちらはミヤギノハギの変種。なんとも厄介な名前の違いだが、ハギには更なる厄介なことがある。『万葉集』の歌に「我が待ちし 白萩咲きぬ 今だにも にほひに行かな 彼方(をちかた)人に」がある。この「白萩」は「しろ」ではなく、「秋(あき)」と訓読される。普通に考えれば白色の「萩」だが、五行説では「秋」は西の方角であり、その方角を示す色が「白」(白秋)。つまり、この「白」は花の色ではなく、「秋」のこと。