ジャノヒゲとノシランの学名を比べてみよう。ジャノヒゲはOphiopogon japonicus、ノシランはOphiopogon jaburanである。「Ophiopogon」は、ギリシャ語の「ophio(蛇)、pogon(ひげ)」からの合成となっている。「Ophiopogon」は日本語の「蛇のひげ」を直訳したもので、ジャノヒゲの学名は「日本の蛇のひげ」、ノシランの学名は「ヤブランのような蛇のヒゲ」となる。ノシランの種小名は「ヤブラン(藪蘭)のような」と言う意味で、草姿がヤブランに似ているところから来ている。ヤブランは同じ科だが、属は異なる。
既にヤブランについて述べた(7 月9 日)が、紫色の花がまだ咲いている。そのヤブラン(jaburan)が学名の一部になっているのがノシラン。一方、ヤブランの学名はLiriope muscari。いずれも日本語では「ラン」となっているが、細長くてツヤがある葉をランの葉に見立てて付けられたものらしい。だが、どちらもラン科の植物ではない。
何ともややこしい限りだが、名前だけでなく、ノシランとジャノヒゲの区別も厄介である。花も実もよく似ているが、ノシランの方が葉、花、実のどれも大きい。