ジャノヒゲの瑠璃色の実

 ヤブラン(藪蘭)は湾岸地域でもあちこちでよく見かけます。開花時期は7月末から10末までで、その後つける実(=種)は丸形で、まず緑色に、そして黒くなります(最初の画像)。その実もすっかりなくなりましたが、ジャノヒゲ(蛇の髭)の実は瑠璃色になり出しています。ジャノヒゲは東アジアからフィリピンや、日本の北海道から九州に広く分布する、キジカクシ科ジャノヒゲ属の常緑多年草で、ヤブランとよく似ています。

 「ジャノヒゲ(蛇の髭)」と聞くと、蛇に髭があったかどうか訝る人がいるかも知れません。ジャノヒゲの葉が能面の「尉(じょう)面」の顎鬚(あごひげ)に似ているためにジョウノヒゲと呼ばれ、それが変化してジャノヒゲとなったようです。古名は「ヤマスゲ」で、既に『万葉集』に登場しています。別名は葉が龍に似ていることから、リュウノヒゲ(龍の鬚)。

 ジャノヒゲの瑠璃色の実はラピスラズリを連想させます。ラピスラズリの瑠璃色はフェルメールが好んで使ったことからフェルメール・ブルーと呼ばれ、さらには、インディゴブルー、ロイヤルブルー、マリンブルーなどと様々に呼ばれてきました。今でも、瑠璃色、群青色、藍色、紺青色(プルシャンブルー)等々、豊富な和の色の呼び名が残っています。