ヤマユリ、テッポウユリなど、今あちこちでユリが花盛り。8月末までユリの花が見られる。種類が多く、開花時期もそれぞれ。欧米ではユリは格別に好まれるが、日本のユリを外国に紹介したのがシーボルト。ユリはフランス、リヒテンシュタインの国花になっている。
老人には「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」が思い浮かび、「シャクヤクのように風情があり、牡丹のように華麗で、百合のように清楚」な女性を表現しているということになるのだが、今のユリたちは清楚だけでなく、より豊富で多様なメッセージを個性的に表現している。
「純潔」というユリの花言葉はギリシア神話に由来する。ゼウスの妻で、結婚や母性、貞節を司る最高位の女神「ヘラ」のこぼれた乳が、地上で百合になったとされる。このことから、百合はヘラの花とされ、古くから清純、純潔、母性の象徴とされてきた。さらに、百合はキリスト教と関わりが深く、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた宗教画「受胎告知」にもユリが描かれている。また、ユリは聖母を象徴する花「マドンナ・リリー」と呼ばれている。
*レオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」(1472-3、ウフィツィ美術館)の天使ガブリエルは左手に聖母マリアの純潔の象徴である白ユリを捧げています。男性を象徴する雄しべもしっかり描かれています。天使ガブリエルは白いユリの花をもち、マリアに処女懐胎を告げる。聖母マリアを象徴する白いユリの花は、テッポウユリでもカサブランカでもなく、「マドンナ・リリー」という品種(画像の白ユリはテッポウユリ)。ボッティチェッリやエル・グレコの「受胎告知」でも白ユリが描かれています。