『ノマドランド』（原題: Nomadland）は公開中のアメリカ映画。監督はクロエ・ジャオ、主演はフランシス・マクドーマンド。彼女とデヴィッド・ストラザーンを除いて本職の俳優はおらず、実際に車上生活を送っている人々が起用された。また、マクドーマンドも車上生活を体験し、Amazonの集配場で日雇いの仕事に従事。原作は2017年ジェシカ・ブルーダーが発表した『ノマド：漂流する高齢労働者たち』
ノマド（nomad）は「遊牧民」や「放浪者」のことで、「定住地を持たず、移動しながら暮らす人」という意味。最近は「時間と場所にとらわれずに働く人、もしくはそういった働き方」として使われてきた。フランスの経済学者ジャック・アタリは、インターネットの発達によって時間と場所にとらわれず活躍する時代がくると予測した。ノマド（ノマドワーカー）はそのような働き方をしている人。すると、コロナ禍で、ノマドが増えたことがわかる。よくノマドと混同されるのが「フリーランス」。こちらは「自分のスキルで企業や個人と契約を交わし仕事をする人」で、微妙に違う。ノマドは主に働く場所や時間が自由、フリーランスは主に働き方が自由、となるだろう。
このようなノマドの肯定的側面ではなく、路上生活者に近い形のノマドを描いたのが「ノマドランド」で、トランプ前大統領の支持者とも違う老齢白人の放浪生活が淡々と描かれ、私には種田山頭火の世界に通じるような情緒、雰囲気、そして自然観が直に伝わってくるように感じられた。
＊映画に関心のある方は「ノマランド」のFacebookを参照してほしい。
