アカボシゴマダラとナガメ

 タテハチョウ科のアカボシゴマダラは1995年に埼玉県秋ヶ瀬公園などで突然見つかった。その後の数年間、神奈川県を中心に関東南部でも多数発生し、2006年には都内でも発生。その後も分布の拡大が続いている。外見上の特徴から、中国南部の亜種と推定されている。自然の分布域から飛び離れていることや、突如出現したことなどから蝶マニアによる人為的な放蝶(ゲリラ放虫)と言われている。私が初めて見たアカボシゴマダラは人為的に持ち込まれ、様々な問題を抱えた外来種だった。

 ナガメ(菜亀)は、カメムシ科の昆虫。この和名は「菜の花につくカメムシ亀虫)」の意味で、アブラナ科の植物に集まることから名づけられた。成虫は橙地に黒の紋、あるいは黒地に橙の条紋を持つ。ナガメが集まって交尾していたのが野生化したセイヨウカラシナ。セイヨウカラシナはよく似たセイヨウアブラナより花が小さい。セイヨウアブラの葉の縁は波打つ程度だが、セイヨウカラシナには鋭いギザギザ(鋸歯)がある。
 動物は老人には観察しにくいのだが、不思議なことにアカボシゴマダラとナガメをほぼ同時に見ることができた。一瞬の初体験は昆虫少年に戻った感じがして、妙に嬉しくなったのだが、ナガメの集まっていたのがセイヨウアブラナかセイヨウカラシナかで随分と迷うことになった。とはいえ、それもまた少年には楽しいこと。

f:id:huukyou:20200726045407j:plain

f:id:huukyou:20200726045427j:plain

f:id:huukyou:20200726045450j:plain

f:id:huukyou:20200726045510j:plain

f:id:huukyou:20200726045531j:plain