「色とは何か」と「これは何色か」の違いは何か、となれば、いかにも哲学的な問いのように響きます。一方、「人は顔色ばかり見て、本性は見ないものだ」と「素人は花ばかり見て、その植物全体を見ないものだ」となれば、花だけ愛でる人への警告にも聞こえます。さらに、「ものとは何か」と「これは何か」の違いといった風に、似たような問いを並べ立てることも難しくはありません。では、花ばかりを被写体にすることはタイトルの問いのいずれに答えようとしていることなのでしょうか。むろん、両方だと良識的な大人は答えるのでしょうが…
そこで、手始めに「花とは何か」の答えを探してみましょう。プラトンのように花の本質を観想するのではなく、「花」を「花びら」と即物的に定義して始めましょう。まずは、花びらの数に注目です。バラ科(バラ、ハマナス、サクラ、ウメなど)は花びらが5枚、アブラナ科(キャベツやダイコンなどの野菜)は4枚、キク科(タンポポ、ヒマワリなど)は複数の花が集合して一つの花に見える頭状花。つまり、一つの花のように見えても、先端が円盤状になった花軸に、多数の小さい花が集まっているもの。この頭状花はさらに次の三つに分けられます。(1)舌状花だけ(タンポポ、レタスなど)、(2)舌状花と筒状花(ヒマワリ、コスモスなど)、(3)筒状花だけ(ヨモギ、アザミなど)。
「花とは何か」に答えようとすれば、「これは何という花か」がわかっていると答えやすいことになります。とはいえ、八重咲きの栽培種などを含めると、私たちの眼には上記のような分類をうまく適用することが簡単でないことがよくわかります。まずは、幾つかの画像で集合した花の美しさも味わってみてください(「頭状花でない花はどれか」が簡単な問い)。