江東区の湾岸部には「緑道」公園が多い。海と陸の間を緑道化し、公園にしたからである。新木場緑道公園も夢の島緑道公園と若洲海浜公園を結ぶ、荒川下流沿いの水辺の緑道公園である。園内は普通の歩道と自転車道が並列されていて、ランニングとサイクリングの両方が楽しめる。荒川の対岸には葛西海浜公園、東京ディズニーリゾートが眺められる。また、東京ヘリポートが隣接していて、ヘリコプターの離着陸が結構うるさい。
5月から7月にかけてこの公園の海辺の土手一面に鮮やかな黄色の花が咲いている。青い海と黄色い花は何とものどかで、いい景色なのだが、その花の正体は何とオオキンケイギク。オオキンケイギクは生態系に重大な影響を及ぼす植物として外来生物法により「特定外来生物」に指定され、栽培、運搬、販売、譲渡、野外に放つことが禁止されている。それがなぜここに咲いているのか私にはわからないのだが、危険な外来生物とは程遠い見事な容姿に騙されてか、駆除の話も聞いていない(「駆除」という言葉はとても権威主義的である)。
オオキンケイギクは「黄色いコスモス」などと呼ばれ、人々に親しまれていて、駆除は意外に厄介である。反射的に妙高のいもり池や笹ヶ峰のオオハンゴンソウ駆除の苦労を思い出してしまうのだが、埋立地の端で重要な植物がある訳でもないから、限定的に目をつぶるのも許されるかと思ってしまう。外来生物法は人が自らの都合で作った法律であり、反グローバル主義の最たるものである。外来生物が在来生物を駆逐して絶滅に追いやる危険を回避し、生物多様性を守ろうという法律の趣旨はわからないでもないのだが、生物多様性を守るもっと有効な方法があれば必要ない法律だろう。例えば、遺伝子バンクはその方法の有力な一つなのである。
法律だから遵守するというのではつまらない。なぜ遵守する必要があるのか、つまりなぜ生物多様性が大切なのかを考え直すのも休日の楽しみではないだろうか。