闖入したアカボシゴマダラ

 アカボシゴマダラ(Hestina assimilis)はタテハチョウ科のチョウの一種。東アジアの広域分布種で、斑紋は近縁のゴマダラチョウによく似ているが、和名が示す通り、後翅の外縁に鮮やかな赤い斑紋があることで区別される。タテハチョウとしてはゆるやかな飛翔で、斑紋も行動様式も毒蝶のマダラチョウ類の擬態だと考えられている。夏型成虫は後翅後部に赤い斑紋をもつが、発達がやや弱くリング状になりにくい(画像は夏型成虫)。春型は赤い斑紋を持たず、黒色部分が少なく全体に白っぽく見える(特に雌)。

 関東地方では近年アカボシゴマダラがよく見られるようになっている。1990年代に関東地方に出現し、あっという間にその勢力を拡大し、湾岸地域でも見ることができる。これに近い在来種がゴマダラチョウだが、こちらは白と黒だけの純和風の地味な装い。それに対して、アカボシゴマダラの夏型は華やかな赤い紋が目立つ(画像)。アカボシゴマダラは中国からの外来種として生態系への影響が懸念されている。

ゴマダラチョウもアカボシゴマダラも幼虫の植樹はエノキ。

*アカボシゴマダラは奄美諸島だけに棲息する珍種だった。ところが、1995年には埼玉県で、98年以降神奈川県で中国大陸の亜種が採集された。2010年までに東京都や埼玉県の平野部、2015年時点で関東を越え始めていて、意図的な放チョウが疑われている。

*最後の画像が在来種のゴマダラチョウ