無知の美

 ハルジオン(春紫苑)の花は春の野原に不可欠で、その舌状花の色は白、ピンク、薄紫など、実に微妙で多様。ハルジオンの花には白色から紫がかった色まである。アントシアニンがこの色を生み出しているのは確か。この色の違いは、色素の合成・発色に関わる遺伝子の変異、花色がピンク色から白色に変わるような生理的な過程の違い、植物の環境の違い、生育する土壌のpHの違い等々が考えられるが、ハルジオンの花色の違いを生んでいる原因が正確に何かとなると私にはまるでわからない。調べても明解な答えは今のところないようである。

 このような意味で、画像のハルジオンの花色の違いは大袈裟に言えば「無知の美」とでも表現できるのかも知れない。それにしてもその微妙な色変化は長閑な春の謎であり、小学生の理科の恰好な研究課題。ハルジオンの幾何学的な花姿も見事であるが、色合いも実に微妙で、美しい。