キマダラカメムシの幼虫と成虫

 キマダラカメムシの幼虫にはボタンのような部分があります。若齢幼虫は淡褐色に黒と朱の横縞模様が背面全体に並び、老熟幼虫は粉を吹いたような暗い灰色に、規則的なオレンジ色の星が並びます(画像は老熟幼虫)。木の幹に幼虫を見つけたときは昆虫老人の無上の楽しみを味わうことができました。

 成虫の体長は20-23mm。国内に生息するカメムシ亜科最大種で、見事な姿をしています(画像)。既にキマダラカメムシについて述べましたが、色は黒褐色で、黄色の小斑紋が散布され、頭部から小楯板にかけて黄色の縦条があります。

 キマダラカメムシは広葉樹の樹液を吸って生活しています。樹木の種類にはあまりこだわらないようです。春から夏にかけては前の年から越冬した個体や、その年に生まれた小さな幼虫などを見かけます。夏から秋にかけて、成長して大きくなった幼虫や成虫が幹に張り付くように樹液を吸っている姿が見られます。

 キマダラカメムシの幼虫を見つけて心を躍らせた昆虫老人は、その変態に近い成長に対し、人の成長がネオテニー幼形成熟)としか思えないと勝手に妄想しながら、成虫の見事な変貌に感心するしかありませんでした。

 キマダラカメムシは1770年に長崎県の出島で発見され、その後は見つかりませんでした。ところが、近年九州地方で分布が拡大し、1995年に広島、2008年に東京で見つかりました。着実に温暖化が進んでいることがわかります。