ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)とは何とも野暮な名前である。ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の多年草で、別名はアメリカヤマゴボウ。ヨウシュ(洋種)とは読んで字のごとくで、北米原産の帰化植物、日本に入ってきたのは明治元年。ヤマゴボウ(山牛蒡)は日本に古くから自生する野草で、根がゴボウに似ているのでヤマゴボウ、そのヤマゴボウに似ているところから、海外から入ってきたヤマゴボウという意味でヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)となったようである。高さは2m前後に達する。茎は無毛で赤く、根は太く長い。葉は大きく、秋になると紅葉する。6月から9月にかけて白色や薄紅色の花の花穂を枝先に付け、夏に扁平な果実をつけた後、初秋に黒く熟す。画像は蕾、花穂、未成熟果、そして成熟果(昨年の画像)である。熟した果実は柔らかく、潰すと赤紫色の果汁が出る。この果汁は染料になり、衣服や皮膚に付くとなかなか落ちない。黒く熟した実をつぶすと、赤紫の汁が出る。昔はこれを赤インクにしたらしい。
子供の頃からあちこちでヨウシュヤマゴボウを目にしていたのだが、雑草にしては目立つという程度の関心しかなく、そのせいか実を食べた経験はなかった。元気に実をつけるヨウシュヤマゴボウは湾岸地域の道端にも自生し、眼を引く存在で、つい凝視してしまう。ヨウシュヤマゴボウは有毒で、果実の中の種子は毒性が高い。ブルーベリーと間違えて食べると大変で、要注意。 誤食すると、約2時間後に強い嘔吐や下痢が起こり、摂取量が多い場合はさらに中枢神経麻痺から痙攣や意識障害が生じ、最悪の場合には呼吸障害や心臓麻痺を引き起こし、死に至る。