2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

アブチロン

まずは二つの画像をご覧あれ。誰も同じ種類の植物だとは想像できないだろう。人の知覚能力など大したことがないことを実感できるのがこれら画像で、その植物はアブチロン。薄い紙でできたような花弁をもつ花がうつむきかげんに咲く。一つ一つの花はすぐ終わ…

途方もない数 —無知から知へ—

大きな数といっても宇宙の星の数、地表の砂粒の数、日本の借金などいろいろあるが、ここでは身近な物に含まれている原子の数を取り上げてみよう。そして、この数が途方もなく大きいことが何を意味するのか考えよう。1 原子を並べてみよう 私たちを取りまく物…

カラー

花壇の端に咲いていたのが水芭蕉によく似たカラー。尾瀬ではなく、いもり池のミズバショウの群落を思い出してしまう。今年のいもり池のミズバショウは画像でしか見ていない。カラーを見てミズバショウを懐かしがるとは私ももうろくしたものである。蛇足なが…

キキョウから運動法則へ

キキョウ(桔梗)の花が咲き出した。私は昔からキキョウが好きなのだが、その理由を遡ると祖父母が吸っていたきざみ煙草の「ききょう」に辿り着く。その図柄が幼児の脳にしっかり記憶され、私がキキョウを経験する始まりになった。これは実物ではなく、文献…

キキョウ(桔梗)

私は昔からキキョウが好きなのだが、その理由を遡ると祖父母が吸っていたきざみ煙草の「ききょう」に辿り着くのだ。その図柄がしっかり記憶され、私がキキョウを経験する始まりになった。これは実物ではなく、文献で何かを知るのに頗る似ている。テキストを…

ヒルザキツキミソウ(昼咲き月見草)

ヒルザキツキミソウは、晩春から夏にかけて、待宵草を桃色にしたような花を咲かせるアカバナ科マツイグサ属の耐寒性多年草です。北米からの帰化植物で、丈夫で、野生化しています。葉は披針形で、葉縁に波状の鋸歯があり、互生して付きます。 マツヨイグサ(…

物理学史のエッセンス(2)

近代物理学の展開と矛盾の拡大<熱学・気体分子運動論> カルノー(1796-1832)の『火の動力についての省察』が第一歩。彼は熱素説に立っていたが、「熱は運動の原因になることができ、しかもそれが非常に大きな動力を持つことを知らぬ人はいない。」と述べ…

ニホンカナヘビ

最近よく見るのがこの爬虫類。生垣や植え込みが増えたためか、歩いているとよく遭遇する。その度に子供の頃にヘビやトカゲと出会ったときの気持ちが蘇ってくる。子供の頃はトカゲよりヘビの方がずっと出会う機会が多かったのだが、流石にここではヘビは見な…

物理学史のエッセンス(1)

ギリシャに先行する古代の自然観となれば、神話や伝承物語の内容そのものを探ればよく、そこでは人間と自然の対立などは見られない。古代の人々は創造の神話、物語によって世界とその中の人間の生活を理解した。ところが、紀元前6世紀頃のタレスとピタゴラス…

ジャカランダ

ジャカランダの花が咲き出した。まだ満開には程遠いが、その花は「青い桜」と言われる。花が散るとあたり一面を青紫の絨毯で埋め尽くすところも、桜そっくり。青紫の神秘的な花をつけた姿はホウオウボク、カエンボクと並んで「世界三大花木」の一つ。ジャカ…

花のあと

今年の春は花が咲き溢れた。そのためか、花の目的の実があちこちに見える。エゴノキ、グミ、ヒメリンゴ等々…そんな中で三つ挙げてみよう。 ハナモモの原産地は中国。実ではなく花を観賞するために改良されたモモ。日本では江戸時代から品種改良が行われ、種…

マーガレット

白い可憐な花を咲かせ、その花径は5センチくらい。次々に花を咲かせて長く楽しめることから、広く親しまれる身近な花である。今では一重咲き、八重咲きと形状も様々。和名は木春菊(モクシュンギク)。学名はChrysanthemum frutesceus。ギリシャ語の「chryso…

植物の発生と成長についての私的見解

生き物を分けろと言われれば、つい動物と植物に分けてしまう。この反射的な反応が「常識」のもつ恐ろしさなのだが、今の生物分類によれば、まず真正細菌と古細菌からなる原核生物と真核生物に分けられ、その真核生物の中に植物と動物があり、その他に原生生…

ユウゲショウ(夕化粧)

道端や空き地、川原に多く、普通は高さ20cm程だが、時には50cmにも成長する。茎には柔毛があり、葉はやや広い披針形で互生する。原産地は北アメリカ南部から南アメリカで、明治時代に観賞用として渡来。現在は野生化し、関東地方から西に分布している(全国…

ブッドレア

ブッドレアは長い円錐形の花穂が甘く香り、それに誘われチョウが集まるため、英語名は「バタフライブッシュ」。藤色を基軸に様々な花色があり、ほかに葉に斑が入るもの、小型のものなど、数多くの園芸品種があります。 ブッドレアの仲間は、約100種で、アジ…

古典的世界観はどのような世界観なのか(2)

<これまでの議論への歴史的コメント:ライプニッツ、モナド、連続性> 17世紀の機械論哲学から生じた困難に「連続体の迷宮」と呼ばれるものがある。それは、「事物の究極的な要素は存在するのか」という問題に対し、物体的原子を主張する原子論の仮説をとっ…

アップルミント

アップルミントはミントの品種の一つで、地中海沿岸から西アジアに分布しています。シソ科でハッカ属となれば、典型的なハーブ。草丈は20~100cmほどに生長し、丸い葉っぱを持つことから、和名は「丸葉薄荷(マルバハッカ)」です。また、葉っぱの表面に毛が…

古典的世界観はどのような世界観なのか(1)

まず、次の問いを考えてみよう。 0をどのくらい加えると0でなくなるのか。 この頓智クイズのような問いの答えと、この問いがなぜ重要なのかを考えてみよう。この問いは哲学の問いがどのようなものかの典型的な例でもあるので、哲学の問いの特徴を歴史的に復…

夢の島公園の風景:自然と不自然

人の都合と植物の都合が同じ筈などないのだが、それら都合が織りなした中間報告が今のところの夢の島公園の景観である。公園は2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて今は改造中。外来植物、園芸植物の自然への介入が公園のあちこちに見られ、不思議…

ストケシア

和名は瑠璃菊(るりぎく)で、大正時代に渡来。ストケシアは、北米原産のキク科の宿根草で、花が美しく、鮮やかな紫や青紫の花が群をなして開きます。暑さ、寒さに強く、病害虫の発生もほとんどありません。 葉っぱには少しトゲがあります。白花や黄色などの…

ウキツリボク(浮釣木、チロリアンランプ)

葉の脇から長い花柄を垂れ下がらせて、赤い筒状の萼が目立ち、ランプをぶら下げたような形の不思議な花を咲かせる。そのため、別名がチロリアンランプ。雄しべと雌しべは飛び出していて、葉は円形ないし三角形に近に、互い違いに生える。葉には柄があり、托…

モデル生物:博物学と生物学の違い

私はファーブルやダーウィンのように生き物すべてに強い関心をもつ少年ではありませんでしたが、生き物に無関心だった訳ではありません。小学生の頃、夏休みとなれば動植物の採集に明け暮れました。そのためか、今でも周りの植物に関心をもっています。かつ…

デイゴとアメリカデイゴ(梯梧)

デイゴは、マメ科の落葉高木。1967年に県民の投票によって沖縄の県花として選定された。デイゴが見事に咲くと、その年は台風の当たり年で、干ばつにも見舞われるという言い伝えがある。一方、アメリカデイゴは赤い葉っぱのような花が咲く木で、花は枝にそっ…

一重と八重についての雑感

「一か八か」は、「結果がわからないままに、運を天に任せて勝負すること」という意味の慣用句。「一」と「八」がそれぞれ何を意味し、なぜ一と八なのかについては、幾つもの説がありますが、いずれも賭博から生まれた言葉のようです。一つは、賭博の「丁か…

ネムノキ

公園の端でふと見上げると大きなネムノキに花が咲いている。アラビアから中国、日本では北海道以外で自生する。陽樹で、荒れ地に最初に侵入する。河原や雑木林に生え、芽吹くのは遅いが、成長は他の木に比べとても速い。ネムノキは飛び抜けて耐寒性が強く高…

キダチチョウセンアサガオ(エンゼルトランペット)

今頃下向きに垂れ下がった花をたくさんつけているのがエンゼルトランペット。花弁の先端は5つに分かれ反り返る。春温かくなると旺盛に生育し、開花時期には大型の株にたくさんの花をつける。キダチチョウセンアサガオ属の植物は広義のチョウセンアサガオの仲…

点と線の幾何学から自然の数学化まで

昨日は点と線の幾何学について述べました。最初の例だった「三つの点からなる幾何学」を考えてみましょう。小学生なら躊躇なく三つの点にそれぞれ名前をつけて、太郎、次郎、三郎などとする筈です。そうすれば変項は必要なく、この幾何学の命題はどれも主語…

一重か八重か

既にヤマブキの一重、八重について述べましたが、画像はクチナシの一重と八重です。クチナシは梅雨どきに大型で純白の6弁花を咲かせて強い香りを漂わせ、秋には橙赤色の果実をつけます。熟しても裂開せず、口が開かないことから「クチナシ」の和名がつけられ…

エゴノキ

今年の春は一目散に過ぎていったが、それでもエゴノキの白い花を随分と楽しんだ。曇った空のもとでも白が栄える。エゴノキは日本全土に分布する落葉樹で、5月から6月にかけて小枝の先に短い総状花序を出し、釣り鐘状の白い花を下向きにつける。古くから親し…

点と線

ユークリッド幾何学は点からスタートし、線や面、さらにはそれらから構成される図形が対象になっていた。単に点があるだけでなく、点が無限にあることが不可欠だった。では、点そのものの存在についての幾何学はあるのだろうか。点だけの幾何学について幾つ…