キダチチョウセンアサガオ(エンゼルトランペット)

 今頃下向きに垂れ下がった花をたくさんつけているのがエンゼルトランペット。花弁の先端は5つに分かれ反り返る。春温かくなると旺盛に生育し、開花時期には大型の株にたくさんの花をつける。キダチチョウセンアサガオ属の植物は広義のチョウセンアサガオの仲間で、有毒植物。
 エンジェルといいながら、アルカイドという有毒な成分を含んでいる。口に入れたり、傷口に触れたり、特に種を食べてはいけない。含まれているアルカロイド系の成分(アトロピン、スコポラミン(ヒヨスチン)、ヒヨスチアミン等)を食べたりすると、錯乱状態になり死ぬ時もある。せん妄、幻聴、頭痛、めまい、興奮、錯乱、最悪、意識喪失、呼吸停止を引き起こし、汁液が皮膚に付着すると炎症を起こす。葉茎などの液汁が目に入ると瞳孔が散大し、見えなくなったり、重症の場合は失明することもある。強い毒性、麻薬的な効能もあるため、江戸時代には「まんだらけ」、「気狂い茄子」と呼ばれていた。
 毒草は薬効をもつ場合があるが、この朝鮮朝顔系は「麻酔薬」として用いられた。江戸末期、家族を犠牲にして様々の苦難の末、世界で始めて麻酔薬の調合に成功、麻酔手術を成し遂げたのが外科医華岡青洲。青洲は曼陀羅華(まんだらげ)の花と草鳥頭(そううず=トリカブト)を含む6種類の薬草を粉末にし、煎じて麻酔薬として用いた。

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