連日の暑さの中でペチュニア「桃色吐息」が元気に花を咲かせている。「桃色吐息」は南房総の園芸家と千葉大学との共同開発によるグランドカバー用のペチュニアの名前。ピンク色の花が特徴で、7月上旬から9月下旬まで楽しむことができる。我が家の近くでもマザー牧場よりずっと規模は小さいが、「桃色吐息」が集団美を発揮して咲いている。
私のような昭和世代が「桃色吐息」と聞けば、高橋真梨子のヒット曲。彼女は1949年生まれだから、私と同じ団塊の世代。ジャズブレイヤーの父の影響で14歳からジャズを学び、現在も活躍中である。1972年に「ペドロ&カプリシャス」の二代目ボーカルとなり、「ジョニィへの伝言」、「五番街のマリーへ」が大ヒット、1984年の「桃色吐息」で紅白に出場している。
「吐息」は落胆した時、ほっとした時に思わずもらす溜息のことだが、「桃色吐息」の歌詞はもっとずっと色っぽく、艶めかしい。繰り返しの歌詞は、
咲かせて 咲かせて 桃色吐息
あなたに抱かれて こぼれる華になる
金色 銀色 桃色吐息
きれいと言われる 時は短すぎて
これだけだと男次第の女の運命を女の感性で詠っただけなのだが、叙事的なパートは根底にある「愛と不安」の同居を象徴的に表現している。
海の色にそまるギリシャのワイン 抱かれるたび素肌夕焼けになる
ふたりして夜にこぎ出すけれど だれも愛の国を見たことがない
さびしいものはあなたの言葉 異国のひびきに似て不思議
明かり採りの窓に月は欠けてく 女たちはそっとジュモンをかける
愛から遠くへ行かないように きらびやかな夢で縛りつけたい
さよならよりもせつないものは あなたのやさしさなぜ?不思議
ペチュニアの「桃色吐息」が歌詞にある「愛の無常」を表現しているかと問われれば、異見もあるだろう。だが、「桃色吐息」を見る度にこの曲、歌詞、そして高橋真梨子の歌声がほぼ反射的に想い出されるのである。