ハマナスの紅い実

 子供の頃、ハマナスは砂浜に自生すると教えられ、北海道の夏の砂浜を思っていたのだが、このところ公園や歩道に植えられていて、珍しくない植物になってしまった。今は花が終わり、実が赤く色づき始めている。ハマナス(浜茄子、浜梨)はバラ科バラ属の落葉低木。初夏に赤や白の花を咲かせる。花径は6センチから8センチくらいあり、野生のバラの仲間では最も大きな花である。

 根は染料に、花はお茶に、実はローズヒップ (rose hipはバラの実)として食用になる。偽果(子房以外の部分が加わってできている果実)で赤く熟し、甘酸っぱい梨に似た味がする。このことから「浜梨」と呼ばれていたが、それが訛って「ハマナス」になったという。だが、梨には見えず、果実の形はナス科のミニトマトに似ている。ハマナスは浜の茄子かも知れない。

 歩道横のハマナスの実は夏の陽の中で、私の眼を刺激しながら、紅く輝いている。