ブタナの花たち

 ブタナ(豚菜)はキク科の多年草で、湾岸地域にはどこにでもある。ヨーロッパ原産で、日本では外来種。花はタンポポによく似ていて、そのためタンポポモドキ(false dandelion)という別名もある。「豚菜」はフランス語の「salade de pore」を直訳したもの。豚が好んで食べる花で、その豚のサラダという訳である(英語名では「cat's ear(猫の耳)」)。

 ブタナが訳語だとわかれば、音も漢字も一応は納得できるのだが、さらに、『日本帰化植物写真図鑑』によると、1930年代に札幌(その際、「タンポポモドキ」と命名)と神戸(今度は「ブタナ」と命名)で発見された(さらに、ヒメブタナも1970年、四日市で発見)と説明されて、落ち着くことになる。

 開花時期は5〜9月頃と言われるが、湾岸地域では真冬以外はいつでも見ることができる。ブタナは30〜60cm程度の花茎が途中で数本に枝分かれし、それぞれの頭にタンポポに似た直径3cmほどの黄色い花をつけるのが特徴で、花茎に葉はついていない。