ソシンロウバイの花

小寒や 素心蝋梅 咲き誇る

冬空に 素心蝋梅 花開き 黄色い肌の 色透き通る  

 

 ソシンロウバイ(素心蝋梅)は中国中部原産で、日本に15世紀初頭に渡来したロウバイ(蝋梅)の変種です。「蝋梅」はらせん状に付く花被片が蝋細工に似ていることから。また、旧暦の12月に花を咲かせるのでその異称の臘月から「臘梅」と付いたとも言われますが、牧野富太郎は漢名の蝋梅を音読みにしたのが和名としています。梅と同じ早春に花を咲かせることから梅と呼ばれていますが、バラ科の梅の一種ではなく、ロウバイ科の落葉低木。そのロウバイの花は中心が暗赤色(濃い紫色)ですが、ソシンロウバイは中心も同じ透き通った黄色(画像)。葉の展開に先立って、花径2センチほどの花をたくさんつけ、水仙に似た芳香を漂わせます。英名はウインタースイート(winter sweet)。花の少ない1月、2月に咲くので珍重されています。

 半透明の作りもののような花はとても不思議な印象を与えます。中国ではツバキ、ウメ、スイセン、そしてロウバイを「雪中四花」と呼びます。「素心」は世俗にとらわれない純粋な心のことで、その「ソシン(素心)」と「ロウバイ(蝋梅)」の二つが合成されたのがソシンロウバイ。中国では花弁、花芯まで同じ色の花を「素心」と呼ぶことに由来しています。

 私は雪の中で咲くソシンロウバイロウバイも見たことがありません。「雪中四花、ウインタースイート」と呼ばれるとすれば、雪の中で咲くソシンロウバイの花はどのように映るのか、是非観てみたいのですが、今は色々想像するしかありません。