フヨウの花

 ムクゲもフヨウもアオイ科フヨウ属の落葉低木です。でも、ムクゲに比べると、フヨウは女性的で、繊細だというのが私の個人的で、主観的な感想。ムクゲの方が花も木もきっぱりした印象なのですが、フヨウには大雑把で、独特の優しさがあります。私がフヨウに惹かれるのはやはりその花で、花の中心部にある雌しべや雄しべの姿です。

 ムクゲの雌しべの花柱は真っ直ぐに長くのび、先端の柱頭の下に雄しべがつらなって下までついています。一方、フヨウの雌しべの先端は5つに分かれ、曲がっていて、その下に全体にわたって雄しべがついています。フヨウの方が雄しべと雌しべの違いが絶妙で、蕊(しべ)の性差をはっきり感じるのです。

 雌雄の違いは植物と動物でどのように同じで、どのように異なるか、それを考える時にフヨウの雄しべと雌しべは実に象徴的で、性差を絵に描く際のヒントを与えてくれているように思えるのです。ムクゲは雌雄の表現が直線的で、面白くないのですが、フヨウは実に個性的に雌雄の役割を表現しているように思えてならないのです。性差を見事なバランスで表現しているフヨウの花は花弁より蕊(しべ)へと私の眼を向かわせるのです。

ムクゲ