ヤマボウシの花(2)

 ベニバナヤマボウシは、ヤマボウシの基本は白花なのに対し、総苞がピンク色をした品種(画像)。ピンクの花びらに見える部分は総苞片(そうほうへん)で、やはり葉が変化したものです。

 ヤマボウシ(山法師)という名前の由来は、白い総苞片を山法師と呼ばれた比叡山延歴寺の僧兵の坊主頭と頭巾に見立てたものです。ヤマボウシの葉は、4~12cmほどの楕円形、または卵円形。全縁でやや波打った形をしていて、葉脈が美しい。

 個々の小花には雌しべ(花柱)が1本、雄しべが4本、「花被片」と呼ばれる小さな花弁のようなものが4枚ずつあります。総苞片の色は品種によって白、黄色、ピンク、赤と変化があります。

 私はハナミズキの赤い花が好きなのですが、ヤマボウシの花は白色の方が好きです。私は陽に輝く花の白も好きなのですが、霧の立ち込める新緑の中の白い花は神秘的で、この世を忘れることができる風景です。ヤマボウシの花の白さに惹かれた俳句を二つ挙げておきます。

 

朝倉和江 山法師 霧の育てし その白さ

能村登四郎 西方の 霧が明るむ 山法師