無常観と持続可能性

 仏教の基本教義の一つが「諸行無常」で、Everything is transient、と英訳されている。これはEverything is unsustainable(何事も持続不可能)とも表現できる。すると、最近よく聞く「持続可能性、サスティナビリティ(Sustainability)」と結びつき、至極単純に考えるなら、諸行無常と持続可能性は互いに相反する概念だということになる。Something is sustainableの否定形はEverything is unsustainableだからである。これをさらに極端に一般化するなら、仏教の世界観(つまり、無常観)は持続可能性と矛盾するという結論を導き出せる。

 むろん、誰もこんな乱暴な推論をしないとは思うのだが、論理的には健全な推論に見える。この推論から、仏教的な世界観と環境やシステムの持続可能性とが矛盾・対立すると捉えていいのだろうか。