私のアジサイに対する好みも世の流行に従ったままで、ガクアジサイが好きだというのも最近の好みの変化に追随しているだけのこと。そんな私はアジサイの何をどれだけ知っているのか。そこでタイトルの「君はアジサイのどの花を見ているのか」となる。生活世界で暮らす私は他の人と同じようにアジサイの花を愛でている。そして、その花は生物学的には「装飾花」と呼ばれる葉の変形。アジサイの進化的な企みにすっかり騙されているという訳だが、それは人だけでなく、他の昆虫も同様のこと。生殖器官である花は生き物を騙す装置であり、私たちを騙そうと巧妙に進化してきた。6月14日の「紫陽花の季節」では長々とアジサイについて書いたが、そろそろアジサイの花も終わろうとしている。そこで今一度、私たちが見ているアジサイの花を見直しておこう。
花には四つの異なるパーツがある。花びら、がく、めしべ、そして、おしべ。そして、ガクアジサイの花は次のような種類に分けられる。
装飾花:一般には花びらと認識される部分。厳密にはがく(が発達したもの)。
中性花:装飾花の中心に現れる蕊群。ただし機能が退化しており、実はできない。
両性花:装飾花に囲まれた大量の粒々の部分。カタツムリの目のように伸びているのが雄蕊で、その付け根に雌蕊があり、いずれ小さな実ができる。
花の中にさらに小さい花があるように見えるのが中性花で、この小さな花がアジサイの本来の花の一つで、 花びらのように見える周りの大きな4枚はがくにあたる部分。
「アジサイ」は最も一般的によく見られる紫陽花で、がく(装飾花)だけが多数集合し、手毬のように見える種類で、「ガクアジサイ」から生まれたもの。アジサイに次いでよく見られるのがガクアジサイで、中心部にある紫色の小さな珊瑚状のものが花(両性花)で、その周辺部に咲く小花のように見えるものは装飾花(萼片)。セイヨウアジサイは日本原産のアジサイ、ガクアジサイをヨーロッパで改良した品種である。
*これまでの整理で、アジサイの両性花はどこにあるのかという素朴な疑問が湧いてくる。https://kinomemocho.com/sanpo_ajisai.htmlはこの疑問をうまくまとめてあるが、それでも疑問は一段と深まる。3種類も花があることは私たちを騙すには悪い手ではないが…